日本の介護業界は、各国大使館からの注目の的?

日本は世界にも類をみない、超高齢化社会を迎えようとしていますが、逆に言えば、世界より少し先を行っているだけということでもあり、少なくても主要先進国は、ここ10年・20年で、日本と同じような状況に遭遇することになります。

 

日本の介護業界は、各国大使館からの注目の的?

 

いわば、日本は高齢化社会を迎える先進国の実験室といった赴きもあるわけであり、そのため、各国大使館からも注目の的です。たとえば、中国大使館は、日本の介護施設に対する視察をたびたび繰り返しています。

 

最近では、大手介護業者、介護の木下を視察しています。下記ページに詳細がありますが、介護の木下は、労働条件が過酷でブラックと言われることが多い介護業界のなかでも、優れた就労環境を実現して、非常に高い社員満足度を誇っている会社です。

 

また、介護の木下では、一般的な介護施設だけでなく、富裕層をターゲットとした高級都市型レジデンスも運営しています。スカイラウンジや人工温泉を完備した大浴場、シアタールームやウォーキングプール、美容院までが用意された至れり尽くせりの施設です。

 

富裕層が誕生している中国においても、こういった高級シニアレジデンスというのは、確実に需要が見込まれるため、視察の対象となったのでしょう。

 

また、フィリピン大使館やオーストラリア大使館も、日本の介護市場を視察するなど、世界各国から、注目を浴びています。

 

介護業界に対する大使館からの売り込み

近年における大使館の大きな役割として、自国産業のPR・貿易促進がありますが、大使館のなかには、日本の介護業界を成長産業と位置づけ、自国企業の売り込みを積極的に展開しているところもあります。

 

たとえば、アメリカ大使館の農産物貿易事務所が、アメリカ国内の高品質の食材・食品を介護食に利用してもらうことを目的に、PR用のセミナーを開催しました。

 

高齢者の健康に必要な栄養素の解説、レシピの提案を通じて、アメリカ産食材を売り込むという内容ですが、かなり熱がこもったセミナーとなっていたようです。

 

ちなみに、アメリカ絡みでは、日本大使館もアメリカ市場に対するアプローチを開始しており、サンフランシスコ・ロサンゼルスといった西海岸地域において、日本製介護食品(スマイルケア食)を紹介して、反応をみることで、市場の潜在性をリサーチするという試みを行っています。

 

日本製の介護食は、ノルウェー・デンマークといった北ヨーロッパの福祉先進国でも、関心を持たれています。日清医療食品をはじめとして、介護食の開発に乗り出している企業が、現地にアンテナショップを開設しており、大使館職員が訪問して、試食するなど、注目をあびています。

 

日本の介護業界に衝撃を与えた駐日デンマークのツイート

ただ、当の日本の介護業界というのは、厳しい就労環境にも関わらず、今でも待遇面で冷遇されている状況です。(詳細は『介護は激務なの?』を参照。)

 

介護職員の月給は、全国平均で21万9700円。全産業の平均が32万9600円ですから、約11万円低くなっています。2014年のデータなので、多少アップしているかもしれませんが、それでもかなりの差です。

 

しかも、これは平均値です。ケアマネージャー、機能訓練士といった年収が500万円を超えるよう人達も含めてのデータですから、一般的なヘルパー・ケアワーカーの場合、月給が20万円を下回ることも珍しくない状況です。

 

そんななか、2015年11月にデンマーク大使館が投稿したツイートが話題となりました。デンマークの介護職の平均月収に関するツイートですが、それによると、デンマークにおける介護職員の平均月収は46万円にもなるそうです。

 

デンマークの場合、高福祉国で、その分、税金が高いという事情もありますが、外国に目を向けると、カナダで平均月収35万円、イギリスやフランス・ドイツといった欧州先進国で約30万円、台湾でも25万円と、軒並み、日本以上となっています。

 

そう考えると、日本はかなり遅れていると言えますが、ただ海外でも、介護職の人材不足に悩まされるなど、問題は山積みとなっており、これからの大きな課題となってくるのは間違いありません。

 

日本の場合、介護ロボを導入するなど、先端技術を活かした取り組みを行い、介護職員の肉体的負担を減らすことで、就労環境を改善しつつ、給与をアップさせれば、人材も集まってくる業界になってくると思います。